エシカルとは、「エいきょうを シっかりと カんがえル」こと。
エシカル協会の末吉里花さんが提唱するエシカルの合言葉、最高です。
本質をあまりにも簡潔に射抜いていて、もともとの英語ではこれを言い表せないなんて、日本語が誇らしく思えるほど。
お店でフェアトレード商品を買うだけがエシカルではない(もちろんそれも大事だけど)。まずは「影響を考えること」。自分の行動が、自分の存在が、発展途上国に、地球に、未来に、どんな影響を与えるのか。
この「エシカル」というフィルターを通して見れば、ややもすれば遠い世界の話のように感じられる環境問題や社会問題が、すべて日々の生活や選択と直結していることがまざまざと見えてきます。
2021年12月に発売となったばかりの末吉里花さんの『エシカル革命』(山川出版)、とてもいい本でした。
末吉さんの語り口はいつもトップクラスに等身大。今回の本もそれがそのままに生かされた、何の前提知識も要らない、本当にわかりやすい、たくさんの大切なことがストレートに伝わってくる本になっていました。
メガソーラーのこと、アボカドのこと、菜食のことなどなど。正解のない様々な課題に対して末吉さんが誠実に考えを綴られていて、ひとつひとつが多くの人の参考になると思います。うちの本『サステイナブルに暮らしたい』と通じる問題意識も多く、スタンスも近いものがあり、とても共感した箇所も多々ありました。
そして、視察力や、人とのネットワーク力にも長けた末吉さん。本は実例も豊富で、心に残るエピソードや言葉がたくさん出てきます(←僕自身は出不精でつい自分の小さな暮らしの内側に閉じこもりがちなので、この辺の広がりある視点は本当に尊敬)。事例がたくさん載っている本は、時にあまり実感が伴わず、心に響いてこないこともありますが、末吉さんが語る実例は、末吉さんのダイレクトな”感動フィルター”を通っているので、どれもスッと響いてくる。みなさんも「よい言葉」をいろいろ探してみてください。たとえば・・・
「問題というのは、誰かが『問題』として認知することによって、はじめて『問題』として認識される」
「サステナビリティは最終目的ではない。サステナビリティとはjourney(旅)である」
スウェーデンのスーパーの冷凍食品棚の扉に書かれた言葉:「孫のために早く扉を閉めましょう」
エシカルブランドはどんどん増えているし、エシカルな商品を取り扱うお店も増えています。とは言え、まだまだ世間一般からすれば数は圧倒的に少なくて、生活の要素すべてをエシカルに・・・というわけにはいかないのは残念なところ。でも、まずは「気づくところ」「考えるところ」から。エシカルを軸に、生活を見つめる視点を持つ。
エシカルって、要は「人としてまともなこと」だと思うので、まともな視点を軸に持つ生活というのは、当然ながら健全というか、自分自身の命を大事にすることにもつながる気がするのです。
道徳的な義務とかではなく、より健全な一生を送るための自然な軸として、エシカル、これからの生活の中でも本当に大切なベースにしたいなと感じます。