オーブンシート(=ベーキングシート)。お菓子作りをする方、料理好きな方にとっては必携アイテムのひとつですよね。
お菓子のレシピを見ると、ほぼすべてに「下準備:オーブンを〇℃に予熱する。〇〇にオーブンシートを敷く」と書いてあります。
もちろん僕も、言われるがままに敷いていました。でも、どんどんごみになるし、ケーキ型にシートをピッチリと合わせて敷くのはわりに面倒だし(特に丸型!)、買い替えも面倒くさいし&お金もかかるし・・・ということで、徐々に「省略」し始めたのです。
すると、オーブンシートが「本当に必要なケース」は実はほとんどなかったことがわかりました。
目次
▶クッキーやスコーン → ほぼ不要
クッキーやスコーンを焼くとき、何も考えずにオーブンシートを全面にドバッと敷いていませんか?
あれ、本当に不要なんです。↓こんな感じにそのまま焼いても・・・
↓こんな感じに焼いても・・・
↓こんな感じに焼いても・・・
ぜーんぜん平気!!・・・なことに気づいたのはここ1年ほどです。これまで何百枚のオーブンシートを無駄に捨ててきたことか!!!
たしかに、生地の配合によっては多少くっつく感じになることもあります。でも、そんな時もこんなへらを使えば・・・
・・・何の問題もなくスルリときれいに剥がれます。
ぜひお試しください。「今まで何のためにオーブンシートを敷いてきたんだろう!?」ってビックリしますよ。文字通り、「ただ捨てるために敷いてきた」のです。必要もないのにせっせと敷いて、捨てて、また買って。
メーカーはこれ、知っていて隠してるんじゃない!?と勘ぐってしまいます。レシピに「オーブンシートを敷く」と書いているお菓子研究家や編集者の人たちもどうなんだろう? 本当に純粋に必要と思い込んでいるのかな? 単に「念のため」? もしかして、敷かずに焼いたことがない???
百歩譲っていえば、「ゆるい生地」のものはよりくっつきやすいです。チュイルのようなタイプを焼くときは、もしかしたら敷いた方がいいかも。でも、スコーンや、しっかりした固めの生地のクッキーなら、僕の経験上はまずもって心配いらないです。
あとは、家庭用のオーブンの天板で、↓こういう材質のものがありますが、
この種の天板は、明らかに剥がれにくいです。「なぜ!?」と言うほどに。 これこそ、もしや企業の陰謀!? オーブンシート会社と結託して、わざわざ剥がれにくくするために、この得体のしれない黒いコーティングを施しているんだろうか???・・・と勘繰りたくなるほど。
・・・なので、お手持ちのオーブンの天板で最初に試すときは、まず少量から試してみるのがおすすめです。大丈夫な場合は、本ッ当~に全然大丈夫ですから! 逆に、うまく行かないときは、天板に薄く油を塗ったり、あるいは天板に段々油がなじんでくると、毎回塗らなくてもくっつかなくなるかもしれません(食パン型も、油がなじんでいると全然くっつかないんですよね~)。いっそ、変なコーティングをしていない、昔ながらのブリキや鉄など、よさそうな天板を購入して、それを使って焼いてもいいかもしれませんね(その方が健康にもよさそう)。とにかく、大丈夫な場合は、本ッ当~に全然大丈夫ですから!!!
☆フッ素樹脂加工の天板は避けましょう! こちらの記事に書いたとおり、フッ素樹脂とはプラスチックです。有害性を指摘する研究もありますし、剥がれたカスはマイクロプラとなります。
▶ケーキ型 → 油と粉を塗る
ケーキ類は、型に油と粉を敷けば大丈夫。オーブンシートがなくても、本当にきれいに、ちゃんと型から外れます。
油は、植物油でもいいし、バターでもいい。バターの場合はやわらかくして、刷毛や指で薄くぬり広げます。ぬったら一度冷蔵庫か冷凍庫に入れて、しっかり固めてから粉をふるうと、本当にきれいに剥がれます。パウンド型も、丸型も、四角型も、それはもう気持ちよいくらいに!
マフィンも同様。油と粉さえ施しておけば、まったく問題なし(具入りの場合のみ、具が型の部分に接していると、その部分だけは少し剥がれづらいです)。
マフィンの場合は、1個1個が小さいので、むしろ「油と粉をぬるのが面倒」というのと、「最後に型を洗うのが面倒」という部分はあります。わが家はお店としてお菓子を作るので、いっぺんに「マフィン16個」とかになってくると、さすがに1個1個に油と粉をぬって、最後は水につけてまたゴシゴシ洗って・・・というのはやはりちょっと負担感もあります。でも、その点さえ除けば、問題はまったくない。一般家庭で焼くのはせいぜい6個とかですよね? だとしたら、ペーパーカップをわざわざ買ってきたり、余らせたりすることを思えば、油と粉をはたいて最後に洗う方がよほどラクではないかな、という気はします。
ちなみにシフォンケーキは、わざわざ「型にくっつくように焼く」ケーキです。くっついたケーキを上手に外すのがポイント。やり方は、こちらなかしましほさんの丁寧なガイドが参考になります。
▶クッキングシートも省略
オーブンシート、料理に使われる方も多いのでは? オーブン料理、蒸し物など、いわゆる「クッキングシート」としての用途です。わが家はこちらもほぼ不要。
オーブン料理はこのとおり、「そのまま省略」。「洗うのが面倒」とみなさん思い込んでいるかもしれませんが、魚の汁や油がベッタリこびりついたクッキングシートやアルミホイルをごみ箱に捨てる方が僕はよっぽど不快です(夏とか絶対イヤ)。
最近のヒットは、「葉っぱ」です。庭に植えているターメリック(うこん)の葉っぱ。南国の風情が魅力で、わが家では「夏のお皿」としても大活躍なのですが・・・
これが蒸し物の下敷きにもうってつけ!
チベット風の餃子が、さらに本場風に! 本当にきれいにスルッと剥がれるし、仮にうまく剥がれなかったとしても、葉っぱなら、そのままコンポストですから、洗う手間もありません。
葉っぱの魅力に気づいたのはわりに最近。これからもっと活用していくのがたのしみです。
フェイスブックのZero Waste Japan Networkという日本のゼロウェイストを語るグループ(3000人近くメンバーがいてなかなか活発ですごい情報源です)の投稿で、お菓子の下にも葉っぱを敷いている方がいるのを見て、「なるほど!」と思い、僕も「家庭用オーブンのくっつきやすい天板」に葉っぱを敷いてみました。
葉っぱの端っこが少し焦げましたが、生地にくっつくことはなく、スルッと剥がれましたよ。おまけに、焼いている最中、プ~ンと笹団子のようないい香りが…(焼きあがったソーダブレッドにも少し香りが移っていました)。これ、使いようによっては、すごく風雅でたのしめると思います!(オーブンの中で燃えないようにだけ注意が必要ですね。)
▶オーブンシートが欲しいケース
そんなこんなで、オーブンシートの使用頻度が激減しているわが家ですが、以下の3つだけは、今でもオーブンシートを使っています。
(1)パン
パンは本当はくっつかないんです。でも、パンの何が問題かと言うと、パンを焼くには「あらかじめ熱した天板に、二次発酵してプニョプニョ&ベタベタにふくれた生地を、崩さずに移し替える」というハードルがあるんです。これは、「オーブンシートの上で二次発酵させ、シートごと天板に移す」方が圧倒的にラク! そういう理由で、今もオーブンシートに頼っています(もっといい方法、ないかなぁ~)。現に、「最後に茹でてから焼く」ベーグルは、シートを敷かずにそのまま焼いても全然平気ですし、フォカッチャも、油と粉を塗った型に入れて二次発酵し、そのまま焼けば、まったく問題ありません。
(2)“乾かす系”(メレンゲ/ドライフルーツ/キャンディードジンジャーetc)
これらはバッチリひっつきます。恐ろしいことになってしまうので、おとなしくオーブンシートの力にすがります。昔はどうしていたのかな???
(3)チョコレート
僕はローチョコレートを時々作ります。これもシートが必須。オランジェット、マンディアンなどなど、シートがないと美しくできません。これも、昔はどうだったのかな???
▶オーブンシート → 選ぶならこれ
オーブンシートとは、つまり特殊なコーティングをしたシートです。コーティングには主に2種類あり、「フッ素樹脂(テフロン等)」と「シリコーン」。ぜひとも、遥かに安定性が高く、健康への影響がずっと少ないと言われるシリコーンを選びましょう。
ちなみに、菓子作りをする人の間では有名なフランスの一流製菓道具ブランド、マトファー。「マトファーの製品なら安心!」とか思えば、そうでもありません。僕が少し前に調べた限りでは、マトファーのタルト型はテフロンコーティングでしたし、マトファーの1000回(だったかな?)使えるオーブンシートも、シリコーンではなくテフロンでした。天下のマトファーさんも、化学物質の健康への影響については、まだ気づいてくださっていないものと見えます。
なので、ここはブランドの名前に惑わされず、しっかり自分で確認しましょう!
洗って繰り返し使える「シルパン」などのシリコーンシートは、ごみの観点から言えば◎ですが、僕の個人的経験では、使い続けるうちに何となくベタついてきて、最後の方はあまり気分良く使えませんでした。(しかも、いつが捨て時なのかも判断に困る。ボロボロになってからでは、カスがお菓子に混入しそうだし、かと言って、かなり高価なものをまだ使えるのに捨てる気にもなれないし…)
というわけで、僕はこれ、「無漂白&コンポスタブル」な使い捨てオーブンシートを(本当に必要な場合のみ)使っています。ブランド名は「IF YOU CARE(イフユーケア)」。日本でも手に入りますよ。
このオーブンシート、何がすごいって、庭に埋めて土に戻せるんです! シリコーンは、樹脂の中でも特に安定性が高く(=添加剤が漏れ出しにくい)、それゆえに健康への影響も少なくてありがたい素材なのですが、それは同時に「分解されにくい」ということを意味します。非常に安定性の高いシリコーンが、庭に埋めただけで土に戻る!? これは大いに不審に感じる部分なのですが、ちゃんとヨーロッパの信頼できる認証を取得しているんです。
世界でも信頼のおける認証なので、「まあ大丈夫なのだろう」とは思いつつ、不信感が拭えないので、直接欧州の事務局に問い合わせてみました。回答は、「具体的な素材については守秘義務もあるため、明かせませんが、きちんと条件を満たし、庭のコンポストで完全に分解されることを証明します」ということでした。つまり、マイクロプラの微粒子になって「単に目に見えなくなるだけで物質としては残り続ける」ということではなく、「本当に自然の中に分解されて消えてなくなる」ことが確認されているとのこと。
だったら、まぁ、大丈夫なのかな~~ということで、僕は「認証を信頼して」、これをコンポストに入れています。もし違う情報が入ってきたら、もちろんすぐにやめるつもりですが、逆に、もっときちんと納得できる情報がほしいな~と思っているところです。(だれかわかったら教えてください。)
・・・というわけで、オーブンシート、ぜひ「本当に必要???」と考えてみてください。そして、使わずに焼くことを試してみてください。びっくりするほどの節約が待っているかもしれませんよ!