パッケージフリーの買い物初級編 ~パンを買うなら竹かごで

何でも過剰包装の日本。特にスーパーではありとあらゆるものがパック済みなので、せっかくマイ容器を持参しても、ほとんどパッケージフリーで買えるものを見つけることすらできません。

でも、パン屋さん、肉屋さん、文房具屋さんなどの個人商店は違います。

ごみやプラスチックを減らす買い物をしたいと思ったら、まずはスーパーに行って呆然と立ち尽くすのではなく(←経験者は語る…)、これら地元の個人商店さんに足を運んでみるのがおすすめです。しっくり来るスタイルを見つけられると、マイ容器での買い物はすごくラクですよ。

今日はパン編。わが家のこれまでの変遷を紹介します。


▶すべては「容器」からはじまった

実は、『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)の翻訳をする以前、いちばん最初に「マイ容器での買い物」をはじめたのがパン屋さんでした。

当初は、文字通りのマイ容器 ―― 野田琺瑯やジップロックなどのしっかりした容器 ―― を持参していました。

しかし、これが全然うまくいかなかったのです。

「このくらいのサイズかな?」と思って持参した容器に、パンが全然入りきらない。食パンを1斤入れたら、もうほぼ満杯です。困り顔の店員さんに「入らない分はビニール袋に入れてしまってもよろしいでしょうか?」と申し訳なさそうに言われ、赤面・・・。

「次こそは!」と、今度は家でいちばん大きな容器をエコバッグに入れ、小脇に抱えて意気揚々と入店すると、お目当ての食パンやカンパーニュが売り切れ。買えるのはちんまりとした菓子パンばかりで、巨大な容器にあんパンを2つ、スカスカの容器が無意味にかさばるのをいまいましく思いながら帰宅・・・。

・・・みたいなパターンが何度も続きました。しかも、巨大な容器は洗って乾かすのも場所を取り、何だか負担。。。我ながらイケてない。

そんな時に出会ったのが、天下のベア・ジョンソン先生(※ 『ゼロ・ウェイスト・ホーム』 の作者)の「パンの買い方」です。


▶目からウロコの「布袋」

ベア先生は、何と、「枕カバー」でパンを買います。つまり、布袋です。フランス出身なので、バゲットを何本も買うため、細長い枕カバーがピッタリなのでしょう。日本人ならふつうの布袋でいいと思います。

やり方:
① バゲットを「そのまま」枕カバーに入れてもらい、小脇に抱えて持ち帰る
② 家に着いたら、保存用の「清潔な枕カバー」に移し替えて、「そのまま」冷凍庫へ

これが天下のベア・スタイル。

「おお!」と驚いたポイントは2つ。まず、「パンを生のまま布袋へ」。これ、かなり抵抗ある。しかし、やってはいけないはずはない。次、「パンをビニールに入れずに冷凍庫へ」。これもかなり不安。でも、とりあえず試してみよう。

・・・ということで、挑戦してみたら、思いのほか快適で、「さすがベア・ジョンソン!」と感服しました。

こんな感じ

清潔な布袋にパンを入れるのは、清潔なナフキンでパンを包むのと何ら変わらないので、問題があるはずもなし。持ちやすくてバッチリです。冷凍も、冷凍庫のにおいがつくのではと不安でしたが、数日で食べきれば、(少なくとも僕自身の味覚と嗅覚では)まったく問題ありませんでした。今まで冷凍保存は密閉袋に入れる手間があったので、手間も大幅に軽減。

ただ、この方法のひとつの問題点は、店員さんにギョッとされることでした。「布袋にそのままパンを入れる」という発想が突飛すぎて、ちょっとやそっと説明しても店員さんに意図が伝わらない。「ここに……直接ですか???」なんて、不潔な提案でもしているかのような反応が返ってくることも少なくなく、微妙にたじろぎます。

もちろん、胸を張って、「はい。ビニール袋がもったいないので、そのまま入れてください」と答えれば済むことだし、行きつけの店ならば、店員さんがすぐに覚えてくれるので、空気が緊迫するのは最初の数回だけなのですが、「う~ん、これは多くの人にとってはハードルになるかな…」という気持ちは拭えませんでした。

もうひとつ。食パンなどのヘルシーな食事パンを買っている分にはよいのですが、少し油っぽい菓子パンや総菜パンを買うとなると、この手法は大問題。しばらくの間は「袋が汚れたって、洗えば済むこと!」と、そのまま果敢にケチャップソーセージパンや揚げドーナツを布袋に入れて持ち帰っていたのですが、油じみの洗濯は思った以上に面倒で。。。

結局は白旗を上げ、菓子パンや総菜パンは「容器」に逆戻りしました。すると今度はパン屋さんに行くたびに「布袋」と「大きな容器」の両方を持参することになり、何だか大ごと…。

そんな中、「第3の案」を提示してくれたのは、「いつも気ままに自分流」の妻でした。


▶わが家の決定版「竹かご+ふきん」

ADHD傾向もある妻は、細かいことが大嫌い。容器に入りきるとか入りきらないとか、パンを急に買おうと思ったけれど清潔な袋の準備がないとか、そういうことに気を回すのは彼女の趣味ではありません。

そんな妻が打ち出した戦略は、「いつも、常に、竹かごを持ち歩く」

パン屋さんのためだけではないのです。出かけるときは常に(何も考えずに)竹かごを持参し、野菜を買ったらそこへ入れる。パンを買ったらそこへ入れる。出先でいただき物をしたらそこへ入れる。(以下同様)

たしかに、これなら買い物をかなり自動化できます。

そして実際、竹かごほど優秀な「容器」はほかにないのです。何しろ、フタがないので、大きめの竹かごなら、およそどんなサイズのパンでも入れられる。

上からふきんをかぶせれば、衛生的にも問題ありません。しかも竹かごは洗いやすいので、総菜パンや菓子パンの油汚れもドンと来い。

これは革命的です。もはや元には戻れません。電車に乗る場合はさすがに厳しいかもしれないですね…。でも、車なら、ゼロ・ウェイスト楽々達成です。

一度だけ、粉砂糖がかかったデニッシュを買ったときは大失敗。竹かごに入れ、車に乗り込み、膝に乗せて帰ったら、膝の上に雪化粧のような白い粉砂糖が! こういう事態に備えて、竹かごの底に1枚ステンレス皿でも敷いておくと、より安心です。

デンジャラスなパンはお皿の上に置く

おすすめのコツは、「トレイにパンを乗せて、会計時に竹かごに移し替える」のではなく、「最初からトレイを使わずに、直接竹かごに入れてしまう」。こうすれば、店員さんに「こちらの竹かごに移し替えてください」とお願いする手間も省けるし、店員さんだってお金の計算だけすればいいわけですから、絶対ラクなはず!! (こういう細かなメリットって結構重要な気がします。)


竹かごで持ち帰ったパンは、焼きたての生き生きした姿をそのままキープ。パンは袋詰めすると、どうしても押しつぶされる感じになりますが、竹かごの中のパンはのびのび自由。家に帰って、すぐに食べる分はそのまま食べてしまい、残った分だけを密閉や冷凍に回せば、容器のやりくりも最低限で済みます。そういう意味でも効率的。

普段は野菜や果物を盛っておいても絵になるし、パンだけでなく、幅広い買い物に活用できる竹かご。今やわが家のゼロウェイストに欠かせない主力級です。