ただの板を載せるだけ ~ 960円のひのきの風呂蓋

お風呂の蓋。プラスチック製でないものを使っている方はどのくらいいるでしょうか?

わが家は、今の家に引っ越してきたとき、お風呂に蓋がありませんでした。お湯が冷めてしまうし、湿気も気になるので、急いで買わなければなりません。既にゼロウェイスト&プラスチックフリーを心がけていたので、あのプラ製の蓋だけは避けたい…。ここはぜひ「ひのきの蓋を」と思いましたが、ネット検索すると、2~3万円とかなりの値段(※今再び検索してみると、1万円を切る価格帯のものもいくつか見つかりました)。

「さすがに高い」と、覚悟を決めてホームセンターに向かいましたが、おなじみのプラ製の蓋たちも、4000円前後~とそれなりの値段。しかも、決して心躍るようなデザインではありません。「こんな値段を払って、見た目がよいわけでもない巨大プラを買わなければならないなんて・・・」と自らの運命を呪いつつ、踏ん切りがつかずにホームセンターを徘徊していたら ―― 見つけてしまったのです、木材コーナーの「1枚160円のひのき板」を!


▶究極のシンプル「買った板をそのまま並べる」

頭の固い都会っ子なので、まずはこの板を使って、DIYで風呂蓋を作ろうと考えました(この頃はまだ地方移住後間もなく、「何でも自分で作らなければ!」と燃えていたため)。

市販のひのきの風呂蓋は、取っ手がついていたり、ロール式だったり、2枚タイプ、3枚タイプなど、いろいろなタイプがあります。ロール式は論外、取っ手は省略するとして、どう組み立てればよいか? 「でも、そもそも湿気で釘やネジが錆びるんじゃ? どうしよう…?」

何しろ引っ越し2日目のこと。ありとあらゆる荷物が家じゅうにごった返しているというのに、風呂蓋ごときに時間をかけている場合ではないのです(そんなことをしたら妻のご機嫌が大変なことに)。

「ここはもう、とりあえず載せるしかない…」ということで始まったのが、この究極のシンプル、「買った板をただ並べただけ」のひのきの風呂蓋です。160円×6枚=計960円。

わが家の浴槽は100センチ×72センチ。ひのき板は100センチ×12センチ(厚さ1.5センチ)。縦に6枚並べたら、ちょうどピッタリ!(普通は横に渡しかけると思いますが…)

▶使い心地(まる4年使ってみて)

「やむを得ず」の滑り出しでしたから、もちろん不安満載でした。カビないのか? ぬめらないか? 木が反ったらどうする? 手入れが大変ではないか? さらに、板を縦に並べてしまって、使いにくくないか? 6枚もあって、開け閉めが大変ではないか…???

でも、4年間使い続けてみて、困ったことは何ひとつありませんでした。すべていいことづくめです。まとめてみると・・・

まず、ひのきの香り、最高です。たった半年で消えてしまい、今は「ウンともスンとも」何の香りもしないのですが、あの最初の数か月のきらめきのためだけにでも、ひのきの風呂蓋にする価値はあると思います。わが家はわざわざやりませんが、電動かんなで削れば、再び香るようになるでしょう。

次。カビと黒ずみ。一般的に、ひのきの風呂蓋は、「入浴後すぐにお湯を抜いて、定期的な陰干しを」とよく言われます。わが家ももちろん最初はそうしていました。でも、そのうちに気が緩み……今では「朝までそのまんま」(汗…)。でも、この通り、カビは皆無。黒ずみは多少ありますが、気になるほどではありません。4年も使ってきたわりには(しかもお湯を朝までそのままにしているわりには)上々だと思います。

朝、お湯を抜いたら、こんなふうに壁に立てかけて、何となく乾かします(時には忘れて夜になってしまうことも…)。

ひのきは天然の抗菌防カビ作用があるのだそうです。とは言え、こんな風に何の手入れもしないのに、まったくカビが生えないとは驚異的(調子に乗っていたらそのうちカビるかもしれません)。

写真のとおり、木の「反り」も特に問題ありません。目を近づけてみると、「ほんの少し反っているかな???」とは感じますが、普段使っていて意識するほどではありません。

あと、何よりうれしいのが「ぬめらないこと」。プラスチックの風呂蓋は、すぐにぬめってくるのが、身の毛がよだつほど嫌でした。特にあのロール式のタイプの溝。お~思い出すのも辛い。その点、ひのきの蓋はいつもサラサラ。さわやかこの上ないです。

そして最後に、「使いにくいのでは?」と心配していた「縦に6枚」という異例の構造。↓入浴時はこんな風に重ねて入るのですが・・・

この通り、スッキリ!です。幅が細いので、まったく邪魔になりません。「6枚構造」も、思ったほど開閉が面倒ということもなく(これが8枚だったら面倒だったかも…)、1枚ずつが軽いので、子どもが無理なく開閉できて、逆にメリットとすら言えます(プラスチックのロール式の蓋はわりに重いため、子どもが上手にどけられず、いつも浴槽の中に転覆させたり、「開けて~!!」「閉めて~!!」と大声で呼びつけられたりして辟易していました)。


▶交換&処分もストレスゼロ

この先何年使えるかは、使い続けてみないとわかりませんが、もっと黒ずんできたら、まずは電動かんなで薄く削ってみたいと思います。それでもダメになったら「交換」ですが、ホームセンターの木材コーナーで代わりの板を買ってくるだけ! サイズがぴったり合う板がない場合は、多少のこぎりでカットする必要があるかもしれませんが、大した手間ではありません (ホームセンターの無料カットサービスを使ってもよいでしょう) 。

古い蓋は「処分」するわけですが、プラ製の蓋と違って、天然の無垢の木ですから、使い道はいくらでもあります。たき火をするもよし。キャンプファイヤーをするもよし。花壇の仕切りに使うもよし。日曜大工の材料にして、台や本棚を作ってもいいでしょう ― 何しろもともと「木材」なのですから!

交換と処分のストレスがゼロなのは本当に大きいです。これこそ、ゼロウェイストの醍醐味。もちろん、ひのきの品質によって「反りやすい」「カビやすい」などあるかもしれないので、毎回同じように「大満足」とはいかないかもしれません。でも、1,000円ですから…。多少思い通りにいかなくても想定内。最悪の場合は、「木材として再利用」と思えば、怖いものはありません。

「買ってきた板をただ置くだけ」の風呂蓋。ぜひお試しください。今の風呂蓋がカビたりぬめったりしてきたら、迷わずホームセンターの木材コーナーへ! これからの人生、粗大ごみをいくつも減らせるはずですよ。