わが家のバスルームはシンプルそのもの。シャンプーも、洗顔料も、歯みがき粉も、デオドラントも、シェービングクリームもありません。あるのは、石鹸と重曹。この2つがあれば、魔法のようにほぼすべて事足りてしまいます。
もちろん以前はいろいろ買っていました。時には、こだわりの高価なものをわざわざ遠方から取り寄せていたことも。そんないちいちを楽しんでいたけれど、いつしか取り寄せも面倒くさくなり。。。ズボラが高じて、いつの間にか、ミニマリスト以上にミニマルなバスルームになってしまいました。
ミニマルって最高です。いちばんのメリットは、買い物がラクなこと。ラクどころか、ほとんど何も買う必要がありません(※重曹は掃除や食器洗いや料理・製菓にも使うので、5キロの大袋で常備しています)。出費はゼロも同然で、置き場もスッキリ。ボトルやチューブのごみも一切出ません。市販品の多くに含まれる化学物質たちもゴッソリまるごと追い出せて、安心さわやか。安全な代替品の選定や入手に頭を悩ませる必要もなし。「ああ、何もないってすばらしい!」
目次
▶シャンプーは少量の重曹ですっきりと
実は何年もお湯だけで洗髪する「湯シャン」派でした。最近は湯シャンを公言する有名人も増えてきて、髪の自然な油分を落としすぎないメリットが広く知られるようになってきました。その昔、NHKの「ためしてガッテン」で、「髪の汚れのほとんどはお湯だけでちゃんと落ちる!」と検証していたのが妙にはっきりと記憶に残っていますが(僕はもう20年もテレビを持っていないので、つまりは20年以上前の放送ということになります)、実際、「基本はお湯だけでも大丈夫だな…」という感覚は今も変わりません。
ただ、ずっと湯シャンだけにしていると、時折、いまいちさっぱりしない感じが出てくるので、そんな時は「時々石鹸」を交えながら湯シャンを続けていました。僕自身の何とない実感としては、これは食べ物の影響が大きい気がしていて、さっぱりしたベジ中心の食生活を心がけていると、髪の状態もさっぱり。逆にこってりしたものが続くと、途端に髪がベタついてきます(ついでに言えば、砂糖の消費量が増えると、髪の状態も悪くなるような気も)。なので、自分としてはなるべくベジ中心のあっさりした食事を保ちたいのですが、子どもたちは魚を食べたがったり、ソーセージを喜んだり。チーズが冷蔵庫にあれば自分も食べたくなるし、パスタにはベーコンが入ると美味しいし・・・ということで、なかなか理想どおりには行かず、「湯シャン+時々石鹸」が自分なりのベストバランスでした。
でも、最近は「薄めの重曹」での洗髪がものすごく気に入っています。重曹シャンプーは、プラスチックフリーやゼロウェイストの人たちの間では定番のスタイルですが、一度試してみたら、そのナチュラルな洗い心地の虜に。
やり方はいろいろあるようですが、僕の場合は、洗面器にカップ1くらいのお湯を入れ、小さじ半分~1杯くらいの重曹をざっと溶かし、頭にそっと回しかけます。お湯の量が多いと、ザーザーこぼれてしまってもったいないので(すごく惨めです)、こぼれずに頭にかけられる程度のお湯の量を見きわめます。重曹の量はその時の気分次第。しっかり洗いたい気分のときは少し多めに。「今日は少なめでいいかな」というときは少なめに。
重曹はあくまで重曹なので、お湯に溶かしても、普通のシャンプーのように泡立つことはありません。でも、試してみていただくとわかると思いますが、明らかに「ただのお湯」とは違う。たとえて言うなら「温泉のお湯のような」??? お湯がマジカルにトロッとするので、ちゃんと「洗えている実感」が持てます。
普通にすすいだら、それでおしまい。僕はリンスもつけません。 特に必要があると感じたこともありません。ネットで検索すると、「重曹シャンプーは髪がきしむのでリンス必須」とか「重曹は洗浄力が強すぎて髪が傷むので要注意」などと書かれている記事が散見されますが、僕としては「?」。髪質のせいもあるのでしょうか? ただ、ひとつ思うのは、多くのサイトが「大さじ1の重曹を使う」と書いていること。個人的には「え、そんなにたくさん使うの?」と思いますね。毎日そんなに使ったら、重曹すぐになくなっちゃうし。。。僕みたいにケチって小さじ1弱くらいしか使わなければ、少なすぎて、洗浄力が強すぎるもへったくれもない気がするのですが、どうなんでしょう??? つける重曹の量が少なければ、アルカリ性への傾きも抑えられると思うので、敢えて酸性のリンスでpHを整える必要もなくなるのでは?・・・などなど、科学的な根拠はまったくありませんが、そんな風に感じています。
このとおり、書き出してみると、僕の「重曹シャンプー」は、あくまで「湯シャンへのプラスアルファ」としての位置づけとも言えます。基本はお湯の洗浄力を信じ、そこに「全体のバランスを崩さない程度に」、髪の状態と相談しながら、最低限の量の重曹でさっぱり感をプラスする ―― そんなマイルドな重曹シャンプー、とても快適で個人的にはおすすめです。
▶ついでに顔と体まで・・・
洗顔料とボディソープも、わが家では既に存在を忘れ去られて久しいです。バスルームには、きちんとした固形石鹸がたったひとつあれば十分。何の不都合も感じません。シェービングクリームも市販の化学的なものをわざわざ買ったりせず、古き良き伝統に倣って、固形石鹸を泡立てて代用しています。こちらは理想的に心地よいとまでは言えませんが(顔を泡だらけにした状態で、ぬるぬるになった手を必死に洗わなければならないのが個人的にはちょっと………やっぱり上等のシェービングブラシを買うべきか?)、それでも余計なものを一切買わなくていい快適さには代えられません(わが家のシェービングについてはこちら)。
最近は、顔や体も「湯シャン」のスタイルで、「基本はお湯で洗う+時々石鹸」が気に入っています。そして、ふと思いついて、顔や体にも重曹を刷り込んで洗ってみたところ、これが思いのほかいい。驚くほどすっきりさわやかです。
こちらも、調べてみると、「肌への負担」とか「摩擦が強すぎる」などの指摘も目につきますが、あくまで自分自身の肌の状態を見ながら、加減してやれば、特に問題はないのではないかと個人的には思います(摩擦が強すぎると思うなら、もっとやさしく擦ればいい話ですしね…)。
何しろ重曹は「消臭剤」として活躍するほどの存在。そのすっきり感はあなどれません。プラスチックフリーやゼロウェイストの人たちの間では、デオドラント代わりにもよく使われるようです。僕自身は試したことはないのですが、市販のデオドラントを使っている方がいたら、ぜひ↓「こちらゼロウェイスト学会!節約ハンドメイド研究員」さんの2本の記事をお読みください。抱腹絶倒、日本のゼロウェイスト史上に残る傑作だと僕は思っております。
「奇跡!諦めていた男の脇にゼロウェイストの神が降臨!」
「気になる脇の匂い、重曹で消えます。オットの重曹デオドラントレビュー」
▶歯みがき粉は3つの材料を混ぜるだけ
お次は歯みがき粉。こちらももちろんゼロウェイストスタイルで。大御所ベア・ジョンソンは、重曹の粉をペッパーミルに入れて、そのまま歯ブラシの上に振りかけて磨く、と言っていますが、わが家には余分なペッパーミルが存在しなかったのと、(それこそ)重曹は研磨効果が強すぎて、直接使うと歯のエナメル質(だったかな?)を傷つけてしまうという話も耳にしたので、きちんと歯みがき粉を手作りして使っています。
「手作り」と言っても、3つの材料を瓶に入れて、そのままスプーンでグルグル混ぜて蓋をするだけ。手間は限りなくゼロに近く、忙しい日常の中にも無理なく取り入れられます。入れるのは、ココナッツオイルと、重曹と、ハッカ油。重曹とハッカ油は必ず食品グレードのものを選びましょう(その辺の薬局でも手に入ると思います)。分量は適当。。。ココナッツオイルと重曹を「大さじ1ずつ」など、同量入れるのが目安ですが、お好みでココナッツオイルを多めにしたり、重曹を多めにしたり。ハッカ油は、単に香りのためなので省略も可。2、3滴入れて様子を見るのがおすすめです。もちろん、ほかの香りのエッセンシャルオイル(食品グレードのもの)でもいいですね。
☆僕は最初に作るとき、アメリカのローレン・シンガーのyoutube動画を参考にしました。材料もシンプルですし、英語が難しいという方でも手順のイメージは十分につかめると思います。
この手作り歯みがき粉、子どもにも受けがいいし、友人の中には「おいしい~!」と言いながらスプーンですくって舐めた人もいるほど。何しろ材料はすべて食材ですから、限りなく食べ物に近い。安心安全です。科学的な効果にはそれほど興味がないのできちんと調べていませんが、歯みがき粉はそもそも「絶対に必要なわけではない」とも言われます。歯みがきは、むしろ「いつ磨くか」が重要なのだと。その上で、ココナッツオイルには抗菌作用が(僕はやっていませんが、アーユルヴェーダではココナッツオイルで口をすすぐ「オイルプリング」というオーラルケアのメソッドもあるそうです)、重曹にはスクラブ効果&ホワイトニング効果があるということも言われているようで、実際に使っていても、すごくさわやかだし、気に入っています。
唯一、使い勝手に難がある部分があるとすれば、ココナッツオイルが温度変化でカチカチの固体になったり、びしょびしょの液状になったりすること。つまり、この歯みがき粉、冬は完全な固体に、夏は完全な液体に変化します。スプーンですくって歯ブラシに乗せるスタイルなら、固体でも液体でも特に決定的な不都合はないと思いますが、年がら年中ペースト状の市販の歯みがきチューブに慣れた方は最初は戸惑われるかもしれません。あと、真冬に歯みがき粉を作る場合は、カチカチに固まったココナッツオイルを少し温めてやわらかくしないと、重曹と混ぜられません。ただ、ひとたび混ぜてしまえば、重曹が混ざる分、「カチカチ度」はやや和らぎ、スプーンですくって使える程度の硬さとなるので大丈夫です(口に入れた瞬間、腔内の温度でさっと溶けます)。
※ココナッツオイルは「近場だと手に入りにくい」「値段が高い」という声も耳にします。たしかに。うちはいつもiherbというネットのお店で買っています。アメリカから送られるのですが、4000~5000円以上で送料無料、1週間ほどで届き、日本では手に入りにくいオーガニックのものも幅広く揃っていて、すごく便利。ココナッツオイルもこんなに手ごろ! 日本語対応のサイトになっていますので、使っていない方は結構おすすめです。
↑iherbは紹介割引制度があったので、上のそれぞれのリンクで割引で使っていただけるように設定しています(こちらにもクーポンがたまります)。よかったらお使いください。
このシンプルな歯みがき粉。先ほどご紹介した「こちらゼロウェイスト学会!節約ハンドメイド研究員」さんは、何と! そのままデオドラントとしても流用されています(記事はこちら)。たしかに、重曹+オイルなので、兼用しても何の問題もないわけですが、その発想の自由さにはただただ脱帽……。削ぎ落すことのすばらしさ、シンプルの偉大さに、ひれ伏したい気分です。
ということで、シンプルなわが家のバスルームは、これからも石鹸と重曹を中心にミニマル&ヘルシー街道を突き進む予定です。唯一、日本では重曹をプラスチックフリーで買うのが難しいのが悔やまれますが(欧米では量り売りや紙箱入りも多い模様。日本ではたしか25kg入りなら紙袋入りで買えるものがあった気がしますが、さすがに量が多すぎるのと、湿気による劣化も心配なので、なかなか25kgを買う勇気は出ず…一緒に共同購入できる友人が5人くらい見つかれば買いたいのですけれどね)、最低限のパッケージごみでこれだけ洗面回りをカバーできることは喜ばしい。わが家のシンプル化を支える立役者のひとつとして、今後も大いに活用していきたいと思っています。